ハンドメイド作家の経費、どこまで考えていい?迷いやすいポイントを整理

アキ

smallbiz basic運営者のアキです。 法人運営と個人事業の両方を経験しながら、ハンドメイド販売や、講師、サイト運営を続けてきました。 現在は税理士、会計ソフト、事業用カード、開業後の実務など、小さな事業を自分で回す人に本当に役立つ情報を、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。FP2級、宅地建物取引士です。

ハンドメイド販売を始めると、かなり早い段階で迷いやすいのが、
「これってどこまで経費で考えていいの?」
ということではないでしょうか。

材料費や梱包材のように、明らかに仕事で使っているものはわかりやすいです。
でも実際には、

  • 撮影用の小物
  • 自宅の一部を使った作業スペース
  • スマホ代やネット代
  • Canva などのサブスク
  • イベント出展時の交通費
  • 勉強のために買った本や講座
  • 試作品
  • 販売時に着る服

のように、仕事に関係はあるけれど、どこまで入れてよいのか迷う支出がかなり多いと思います。

個人事業主の必要経費は、基本的に「売上を得るために直接必要だった費用」が中心です。
一方で、私生活にも関わる費用は、そのまま全部を必要経費にはできず、業務に使った部分を区分できるかが大事になります。国税庁も、家賃、水道光熱費、電話代などの家事関連費は、業務上直接必要だった部分を明らかに区分できる場合に限って、その区分できる金額を必要経費にできると案内しています。

この記事では、ハンドメイド作家が迷いやすい経費のポイントを、
「必要経費の基本」
「経費にしやすいもの」
「迷いやすいもの」
「無理に広げないほうがいいもの」
に分けて整理していきます。


結論|ハンドメイド作家の経費は「仕事に必要だったか」「あとで説明できるか」で考える

最初に結論を書くと、ハンドメイド作家の経費は
仕事に必要だったか
そして
あとで説明できるか
で考えるのがおすすめです。

「仕事にも関係ありそう」だけでは足りず、実務では

  • 作品制作や販売に直接必要だったか
  • 私用と事業用を分けられるか
  • 領収書や明細、使い方を後から説明できるか

を意識しておくと、かなり判断しやすくなります。国税庁も、必要経費になるのは、家事上の費用そのものではなく、取引記録などに基づいて業務遂行上直接必要だったことが明らかに区分できる金額に限られると案内しています。

私は、何でもかんでもなるべく経費で落とすという感覚は、あまりおすすめしません。
ずるをせず、真摯に取り組む。
そのほうが、日々の記帳もしやすく、あとから見返したときにも自分で納得しやすいです。


まず経費にしやすいもの

ハンドメイド作家の場合、まず比較的わかりやすいのは、
作品を作る・売るために直接必要な支出
です。

たとえば、

  • 材料費
  • パーツ代
  • 糸、金具、接着剤などの制作消耗品
  • 梱包材
  • 台紙、ショップカード
  • 発送費
  • 出店料
  • 販売サイトの手数料
  • 振込手数料
  • 事業用の会計ソフト代

このあたりは、売上や販売活動とのつながりがはっきりしているので、比較的整理しやすいです。


迷いやすい1|販売時に着る服は、かなり慎重に見たほうがいい

たとえば、販売イベントや対面販売のときに着る服は、感覚的には
「仕事用だから経費にしたい」
と思いやすいところです。

ただ、ここはかなり難しいと思っています。

服は、たとえ販売時に着る前提でも、私生活で着る可能性があるからです。
いわゆる制服のように見えても、日常で使えるものであれば、私用との区別がかなりあいまいになります。

実務では、
普段は使わず、事業でしか使っていないと説明しやすいかどうか
が大きいと思います。
ただ、その線引きはかなり難しいので、私はこういうものは無理に経費として広げないほうが安心だと考えています。

「経費にできるかもしれない」を追いかけるより、
説明が難しいものはあきらめる
くらいのほうが、個人事業では結果的にラクです。


迷いやすい2|作業部屋を専用にすると、家事按分がかなり考えやすくなる

個人事業のハンドメイド作家は、自宅で作業することが多いと思います。
その場合、私は作業する部屋をできるだけ事業専用にしたほうがいいと思っています。

そうすると、

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費

などを考えるときにも、どのくらい事業で使っているかを説明しやすくなります。

国税庁も、店舗併用住宅に係る家賃、水道光熱費などを家事関連費の例として示していて、業務上直接必要だった部分を区分できる金額だけが必要経費になると案内しています。

つまり、自宅兼作業場なら、
家事按分の考え方
が必要になります。

このとき大事なのは、何でも広く入れようとすることではなく、
部屋の割合や使い方に応じて、無理のない根拠を持つことです。

服のように私用との区別が難しいものを広げるより、
作業部屋をなるべく事業専用に近づけて、説明しやすい部分を積み上げる
ほうが、ずっと整理しやすいと思います。


迷いやすい3|パソコンやカメラは、事業専用にしておくほど説明しやすい

ハンドメイド作家の仕事を考えると、パソコンやカメラはかなり事業に必要な道具です。

たとえば、

  • 作品写真を撮る
  • 商品ページを作る
  • SNSやショップを管理する
  • 売上や発送を確認する
  • お客さまとやり取りする

といった作業があるため、仕事との関係はかなり説明しやすいです。

ただし、ここでも大切なのは、私用との区別です。
パソコンやカメラをできるだけ作業部屋に置き、事業専用に近い使い方をしておくと、後から説明しやすくなります。

一方で、あまり高額なものを買うと、その年に一度で全部を必要経費にできるとは限りません。
国税庁は、取得価額が10万円未満のものは全額をその年の必要経費にでき、10万円以上20万円未満は一括償却資産として3年間で均等に必要経費にできる扱いがあること、さらに一定の青色申告者には30万円未満の少額減価償却資産の特例があることを案内しています。

なので、パソコンやカメラは
仕事で使うから全部その年に経費
ではなく、金額によって扱いが変わることを知っておいたほうが安心です。


迷いやすい4|スマホは、分けるなら全額、分けないなら按分が基本

スマホ代は、個人用と事業用を分けているかどうかで考えやすさがかなり変わります。

事業専用のスマホを持っていて、仕事でしか使っていないなら、かなり整理しやすいです。
一方で、私用と共通で使っているなら、事業で使っている割合で按分して考えるのが自然だと思います。

国税庁も、電話代などの家事関連費は、家事分と業務分を適切な基準で区分し、業務に必要な部分だけを必要経費にする考え方を示しています。

つまり、

  • 個人用と事業用を分ければ、事業用は整理しやすい
  • 分けなければ按分が基本

という考え方で進めるのが、かなり現実的だと思います。


迷いやすい5|サブスクは、事業専用ならかなり考えやすい

サブスクは、スマホ代より整理しやすいことがあります。

たとえば、

  • Canva
  • Xプレミアム
  • 画像編集ツール
  • 販売管理やショップ運営に使うサービス

などで、事業用アカウントとして使っているなら、仕事とのつながりを説明しやすいです。

特に、家庭用と明確に分かれていて、事業のために契約しているなら、かなり考えやすい費用だと思います。
たとえば、事業用のX運用のためのプレミアム契約や、商品画像作成のための Canva 利用は、事業との関係がかなりはっきりしています。

逆に、私用でも使っているものは、スマホ代や通信費と同じように慎重に見たほうが安心です。


迷いやすい6|交通費、印刷代、茶菓子代、ネットカフェ代は「目的」が大事

このあたりは、全部まとめて
「仕事とのつながりを説明できるか」
で考えると整理しやすいです。

交通費

イベント出展、仕入れ、打ち合わせ、発送準備など、仕事目的がはっきりしていれば整理しやすいです。

DMやショップカードの印刷代

販売活動とのつながりがかなりわかりやすいので、比較的考えやすいです。

茶菓子代

来客や打ち合わせのために必要だったと説明しやすいなら、会議費や接待交際費として整理を検討しやすいと思います。
ただし、ここはかなり広げすぎやすいところでもあります。

大事なのは、

  • 誰との打ち合わせだったか
  • 何のためだったか
  • いつ使ったか
  • 領収書やメモが残っているか

が後でわかることです。

飲食料品についても、NTAは会議費や交際費として購入するケースを前提に区分経理の案内をしています。

ネットカフェ代

これは私の実体験ですが、私は毎週1回、快活CLUBで執筆作業をしています。
こういうものは、ただ「使った」ではなく、いつ、何のために使ったかが自分で説明できるようにしておくのが大事だと思っています。

仕事目的がはっきりしていれば、会議費や雑費などで整理を検討しやすいと思いますが、名前よりも仕事とのつながりを説明できるかのほうが大事だと感じています。


迷いやすい7|在庫や試作品は「買った年に全部経費」とは限らない

ハンドメイド作家では、材料や作品在庫の扱いも迷いやすいです。

国税庁の青色申告の手引では、未使用の消耗品の年末棚卸高は、その年分の必要経費にならないとされています。

つまり、材料や作品を買ったからといって、状況によっては
年末時点で残っている分をそのままその年の経費と見るわけではない
場合があります。

特に、在庫が多くなってきた段階では、

  • 何を仕入れたか
  • 年末にどれだけ残っているか
  • 材料、作品、消耗品の違い

を少し意識しておいたほうが安心です。

試作品についても、販売用見本や商品開発の一部として説明しやすいものと、趣味的な制作との境目があいまいなものでは、見方が変わってきます。


迷いやすい8|家族に払う家賃や給料は、そのまま経費にならないことがある

ここは見落としやすいですが大事です。

国税庁は、生計を一にする配偶者や親族に支払う地代家賃や給与について、原則として必要経費にならないと案内しています。青色事業専従者給与など、一定の例外はあります。

たとえば、

  • 家族名義の部屋を借りている
  • 家族に手伝ってもらっている
  • 家族へ何らかの支払いをしている

という場合は、一般の外注や家賃と同じ感覚では扱えないことがあります。


私のおすすめ|広く取りにいくより、事業とのつながりを説明できるものを積み上げる

ハンドメイド作家の経費で迷ったとき、
つい
「これも経費にしていいかな」
という方向で考えがちです。

でも、実際には
「あとで説明できるか」
で見たほうが、かなり判断しやすいと思います。

たとえば、

  • 材料や梱包材のように、作品制作や販売に直接必要だった
  • 作業部屋やスマホ代のように、事業用と私用を分けて説明できる
  • パソコン、カメラ、サブスクのように、仕事でしか使わない、または仕事用が明確
  • 交通費や印刷代のように、目的がはっきりしている

ものは整理しやすいです。

逆に、

  • 販売時に着る服
  • 私用との境目があいまいな支出
  • 根拠を説明しにくいもの

は、最初から慎重に見たほうが安心です。

私は、ずるをしないで、真摯に取り組むことが一番大事だと思っています。
事業だけで使うもの、あるいは事業で使っていると説明しやすいものを中心に積み上げていく。
そのほうが、日々の記帳もしやすく、後から見返したときにも自分で納得しやすいです。


まとめ|ハンドメイド作家の経費は「必要性」と「区分」で考える

ハンドメイド作家の経費は、
何でも広く入れるというより、
必要性区分で考えるのが基本です。

特に意識したいのは、

  • 材料費や梱包費など、直接必要なもの
  • パソコンやカメラなど、事業専用にしやすいもの
  • スマホ代や通信費は、分けるなら全額、分けないなら按分
  • サブスクは事業専用ならかなり考えやすいこと
  • 家賃や水道光熱費は、作業部屋を専用にするほど説明しやすいこと
  • 服のように私用との区別が難しいものは慎重に見ること
  • 在庫や高額機材は、その年に全部経費とは限らないこと

です。

最初から完璧に判断しようとしなくても大丈夫ですが、
「仕事に必要だったか」
「私用と分けて説明できるか」
の2つを意識しておくと、かなり整理しやすくなります。

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アキ

smallbiz basic運営者のアキです。 法人運営と個人事業の両方を経験しながら、ハンドメイド販売や、講師、サイト運営を続けてきました。 現在は税理士、会計ソフト、事業用カード、開業後の実務など、小さな事業を自分で回す人に本当に役立つ情報を、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。FP2級、宅地建物取引士です。

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