個人事業主として仕事を始めると、
「何から手をつければいいのかわからない」
と感じることが多いと思います。
開業届、青色申告、会計ソフト、銀行口座、クレジットカード、健康保険、年金。
調べるとやることがたくさん出てきて、かえって動けなくなることもあります。
でも実際には、最初から全部を完璧にそろえなくても大丈夫です。
大切なのは、後回しにすると困りやすいものから順番に整えることです。
国税庁は、個人が新たに事業を始めたときの主な届出として、開業届や青色申告承認申請書などを案内しています。開業届の提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」、青色申告承認申請書は原則その年の3月15日までで、1月16日以後に新たに開業した場合は開始日から2か月以内です。
この記事では、開業したあとに最初にやることを、実務目線で順番に整理していきます。
開業したら最初にやることリスト
- 開業日を決める
- 事業用の銀行口座を作る
- 事業用クレジットカードを作る
- 口座とクレジットカードをひもづける
- 会計ソフトを決める
- 開業届を出す
- 青色申告承認申請書を出す
- 健康保険・年金の手続きを確認する
- 請求書・領収書・レシートを保存する
- 税理士が必要かどうかを考える
開業したらやることはたくさんありますが、最初から全部を完璧にそろえなくても大丈夫です。
まずは、後回しにすると困りやすいものから順番に整えていくのがおすすめです。
この記事では、個人事業主が最初に整えたい実務を、やることリストに沿ってわかりやすく整理していきます。
結論|最初にやることは「お金を分ける」「記録する」「必要な届出を出す」
開業したらやることはたくさんありますが、まず大きく分けるとこの3つです。
- 事業のお金と家計のお金を分ける
- 記帳できる状態を作る
- 必要な届出を期限内に出す
この3つを先に意識しておくと、あとからかなり楽になります。
特に税務の面では、個人事業の開業届と、青色申告をしたい場合の青色申告承認申請書が基本になります。青色申告には青色申告特別控除などの特典があるため、ここはかなり大事です。
1. まずは「開業日」を決める
実務的に最初に決めたいのは、
いつから事業を始めたことにするか
です。
個人事業の開業日は、法人のように登記日で決まるわけではなく、実際に事業を開始した日を基準に考えます。国税庁の案内でも、個人事業の開業届は「新たに事業を開始したとき」の手続として示されています。
この日付が決まると、
- 開業届
- 青色申告承認申請書
- 会計の開始時期
- どこから事業の経費として見るか
が整理しやすくなります。
2. 銀行口座とクレジットカードは、できるだけ早く事業用で分ける
開業したら、できるだけ早い段階で
事業用の銀行口座を作り、そこに事業用クレジットカードをひもづける形にしておくのがおすすめです。
個人事業主の口座は、銀行によって個人名義で使う形もあれば、屋号付き口座を作れる場合もあります。
ただ、名義が個人名であっても屋号付きであっても、大事なのは
家計と事業のお金を確実に分けること
です。
ここが混ざると、会計ソフトへの取り込みがかなり大変になります。
仕事の支払いと私用の支払いが同じ口座・同じカードに入っていると、あとから
- これは事業用だったか
- これは生活費だったか
- どこまで経費で見ればいいか
を毎回見分ける必要があり、記帳の負担が一気に重くなります。
しかも、後で説明が必要になったときにも不利です。
税務調査の場面まで大げさに考えなくても、普段の帳簿付けや確定申告の確認だけでも、事業と家計が分かれていたほうが圧倒的に整理しやすいです。
私としては、開業直後はまず、
- 売上の入金口座を分ける
- 事業用の支払い口座を分ける
- その口座に事業用クレジットカードをひもづける
この形を作るのがかなり大事だと思っています。
3. 地方都市なら、ゆうちょ銀行はかなり使いやすい
ここはかなり実感として強い部分です。
地方都市で事業をしているなら、私はゆうちょ銀行をかなり重宝すると感じています。
これは制度上どうこうというより、実務上の使いやすさです。
地方では、
「近くで入出金しやすい」
「動きやすい」
こと自体が大きな価値になります。
その意味で、事業用口座の土台として、ゆうちょ銀行はかなり使いやすいと感じています。
そのうえで、もう1つおすすめしたいのが、振込用のネット銀行を持っておくことです。
小さな事業では、毎月の振込件数がそこまで多くなくても、手数料の差がじわじわ効いてきます。
私は、個人事業なら
- 楽天銀行
- PayPay銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 住信SBIネット銀行
- SBI新生銀行
あたりが候補に入りやすいと思っています。
私自身は、楽天銀行とPayPay銀行を使っています。
以前は都市銀行も使っていましたが、ネット銀行を使うようになってからは、以前ほど使わなくなりました。
これは都市銀行が悪いというより、個人事業の実務では
- 口座維持コストが重くないこと
- 振込手数料が低めであること
- ネットで完結しやすいこと
のほうが重要になりやすいからです。
なので、私は
ネット銀行の利用料や維持コストが重くない銀行を使うのがおすすめ
だと考えています。
4. 会計ソフトは早めに決める
次に整えたいのが、
記帳の土台です。
個人事業では、白色申告でも青色申告でも、記帳と帳簿書類の保存が必要です。国税庁も、個人で事業を行う方に対して記帳と帳簿書類の保存を案内しています。
そのため、開業後はできるだけ早めに会計ソフトを決めて、
最初から記録できる状態を作る
のが大事です。
私としては、会計ソフトはfreee か弥生のどちらかを早めに決めておくのがおすすめです。
どちらも広く使われていますが、私の感覚では、将来のことまで考えるなら弥生はかなり有力です。
理由は、今後もし人を雇うようになったときに、給与計算の流れまで考えやすいからです。
もちろん、最初は
「毎年サブスクでお金がかかるのが重い」
と感じることもあると思います。
私もその感覚はよくわかります。
ですが、会計ソフトは単なる出費というより、
必要経費として割り切って、事務の負担を減らすための道具
として考えたほうがいいと思っています。
開業初期は、売上を作ることと同じくらい、事務をためこまないことが大事です。
最初から会計ソフトを入れておくと、後からまとめて整理するよりずっと楽になります。
5. 開業届を出す
個人事業主として事業を始めたら、
個人事業の開業・廃業等届出書
を税務署に提出することになります。
国税庁では、この届出書を「新たに事業を開始したとき」の手続として案内していて、提出期限は事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとしています。
以前よく言われた「開業から1か月以内」という認識で覚えている方もいますが、現在の案内は上記のとおりです。
ただ、実務上は、後回しにしすぎると他の手続きもずれやすいので、できれば早めに出しておくほうが安心です。
6. 青色申告をするなら、青色申告承認申請書を忘れない
これはかなり大事です。
青色申告をしたい場合は、
所得税の青色申告承認申請書
を提出する必要があります。
国税庁によると、提出期限は原則その年の3月15日までで、その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、その事業開始の日から2か月以内です。
青色申告には、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除などの特典があります。65万円控除には、正規の簿記による記帳に加え、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存の要件があります。
そのため、青色申告を考えているなら、ここはかなり早めに意識しておいたほうがいいです。
7. 会社員から独立した人は、健康保険と年金の手続きも確認する
会社を辞めて個人事業を始める場合は、税務だけでなく、
健康保険と年金
の手続きも大事です。
厚生労働省の案内では、会社を退職して厚生年金から国民年金第1号被保険者になる場合、原則として14日以内に市区町村での手続きが必要です。
この部分は、会社員からの独立かどうかで必要性が変わるので、該当する方だけ確認すれば大丈夫です。
8. 請求書・領収書・レシートは最初から残す
開業した直後は、売上を作ることばかり考えがちですが、
書類の保存
も大事です。
個人事業では、記帳だけでなく、帳簿や書類の保存も必要です。国税庁は、個人事業主向けに帳簿書類の保存や青色申告関係の手引きを案内しています。
最初のうちは、
- 領収書
- レシート
- 請求書
- 納品書
- カード明細
- 通帳明細
などを、あとで見返せる形で残しておくだけでもかなり違います。
9. 税理士が必要かどうかは、最初に無理に決めなくてもいい
開業したばかりだと、
税理士をつけるべきかどうか
で迷う方も多いと思います。
でも、ここは最初に無理に決めなくても大丈夫です。
事業の規模がまだ小さく、
- 支出の流れがシンプル
- 会計ソフトを使える
- 記帳を続けられそう
なら、自分で進められることもあります。
一方で、
- 売上が早い段階で大きくなりそう
- 記帳が苦手
- 消費税やインボイスが不安
- 本業に集中したい
なら、早めに税理士を検討したほうが安心なこともあります。
最初に無理に結論を出すより、
自分でやれるラインと、頼んだほうがいいライン
を見極めていく形で十分です。
まとめ|開業直後は「全部」ではなく「順番」を整える
開業したらやることはたくさんあります。
でも、最初から全部を完璧にやろうとすると、かえって進みにくくなります。
まず意識したいのは、
- 開業日を決める
- 口座とクレジットカードを分ける
- 会計ソフトを決める
- 開業届を出す
- 青色申告の申請を忘れない
- 会社員から独立した人は保険・年金も確認する
このあたりです。
特に、お金を分けることと記録できる状態を作ることは、後からかなり効いてきます。
制度上の手続きは期限があるものもあるので、そこは押さえつつ、
それ以外は
「小さな事業を無理なく回せる状態を作る」
ことを意識して整えていくのがおすすめです。