個人事業主やフリーランスにとって、節税の強い味方になるのが青色申告です。
ただし、青色申告を始めるには、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。
「期限はいつまで?」「もし出し忘れてしまったらどうなるの?」と不安に思っている方も多いと思います。
この記事では、青色申告承認申請書の提出期限と、出し忘れてしまった場合のリスクや対処法を、できるだけわかりやすく整理します。
1. 青色申告承認申請書の提出期限はいつ?
青色申告承認申請書の提出期限は、すでに事業をしているか、今年新しく開業したかで変わります。
パターンA:すでに事業をしていて、今年から青色申告に変えたい場合
提出期限:青色申告をしたい年の3月15日まで
すでに白色申告で事業をしていて、「今年分から青色申告にしたい」という場合は、その年の3月15日までに提出します。
例
2026年分の所得を青色申告にしたい
→ 2026年3月15日までに提出
パターンB:今年(1月1日〜1月15日)に新しく開業した場合
提出期限:その年の3月15日まで
年の初めに開業した場合は、すでに事業をしている人と同じく、その年の3月15日までです。
パターンC:今年(1月16日以降)に新しく開業した場合
提出期限:開業日から2か月以内
年の途中で開業した場合は、開業日から2か月以内に提出します。
この「開業日」は、開業届に書いた日付を基準に考えるとわかりやすいです。
例
2026年5月10日に開業した
→ 2026年7月9日までに提出
2. もし青色申告承認申請書を出し忘れたらどうなる?
結論から言うと、提出期限を過ぎると、その年は青色申告ができません。
その年の申告は白色申告として扱われます。
「うっかり忘れていた」「忙しくて後回しにしていた」という理由で、その年だけ特別に認めてもらえるわけではありません。
つまり、青色申告にしたいなら、期限までに出しておくことが絶対条件です。
3. 出し忘れると何がもったいない?
デメリット1:青色申告特別控除が使えない
青色申告には、10万円・55万円・65万円の青色申告特別控除があります。
これが使えないと、所得税や住民税の負担が重くなりやすいです。
特に65万円控除はインパクトが大きいので、出し忘れの影響はかなり大きいです。
デメリット2:赤字を3年間繰り越せない
青色申告なら、赤字が出た年の損失を翌年以後3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できます。
出し忘れると、この制度が使えません。
開業初年度や、設備投資が大きい年ほど痛いです。
デメリット3:家族への給与を全額経費にしにくい
家族に事業を手伝ってもらっている場合、青色申告なら一定の条件のもとで青色事業専従者給与として必要経費にできます。
白色申告では上限のある専従者控除になるため、使い勝手がかなり違います。
デメリット4:30万円未満の資産を一括経費にできる特例が使えない
青色申告者には、一定の条件のもとで30万円未満の減価償却資産を一括で必要経費にできる特例があります。
白色申告ではこの特例は使えません。
パソコンや備品を買うことが多い人には地味に大きい差です。
4. 出し忘れてしまった場合の対処法
その年にさかのぼって青色申告にすることはできない
まず知っておきたいのは、期限を過ぎたら、その年にさかのぼって青色申告に変えることはできないということです。
なので、「今年分だけなんとか青色にしたい」は難しいです。
今年の分は白色申告で進める
残念ですが、その年は白色申告で進めるしかありません。
ただし、白色申告でも帳簿付けや書類保存は必要です。
来年分のために今すぐ出す
いちばん大事なのはここです。
気づいた時点で、来年分のためにすぐ提出する
これが最善です。
来年の期限がまだ先でも、早く出して困ることはありません。
「忘れたまま翌年も過ぎる」が一番もったいないです。
5. こんな人ほど早く出しておきたい
次のような人は、特に早めに出しておいたほうが安心です。
- 開業したばかりの人
- 会計ソフトを使って青色申告する予定の人
- 赤字や先行投資が出そうな人
- 家族に手伝ってもらう予定がある人
- パソコンや備品を買う予定がある人
青色申告は、あとで効いてくるというより、最初から準備しておくことで差が出る制度です。
6. 開業届とセットで考えるのがおすすめ
青色申告承認申請書は、単体で考えるより、開業届とセットで考えるのがいちばんわかりやすいです。
- 開業届を書く
- 青色申告承認申請書も一緒に書く
- まとめて出す
この流れにしておけば、出し忘れにくくなります。
実際、個人事業の開業準備では、開業届だけに意識が向いて、青色申告承認申請書を忘れる人が多いです。
なので、最初から2枚セットと思っておいたほうが安全です。
まとめ
青色申告承認申請書の提出期限は、原則その年の3月15日まで、1月16日以後の新規開業なら開業日から2か月以内です。
出し忘れると、その年は白色申告になります。
その結果、
- 青色申告特別控除
- 赤字の3年繰越
- 青色事業専従者給与
- 少額減価償却資産の特例
など、青色申告の大きなメリットが使えなくなります。
なので、開業届を出すときは、
青色申告承認申請書もセットで出す
と考えておくのがいちばん安心です。
後回しにすると忘れやすい書類なので、開業のタイミングで早めに済ませておきましょう。
