個人事業の開業は、やることが多そうに見えます。
でも実際には、順番に分ければそこまで難しくありません。

このページは、個人事業の開業手順書です。
上から順番に見ていけば、開業に必要な準備と手続きを進められるように作っています。

まずは、

  1. 用意するものを見る
  2. 提出するものを確認する
  3. 上から順に進める

この流れで大丈夫です。

なお、開業届を出す前に買ったものでも、開業準備のために必要だった支出なら、あとで経費として扱えることがあります。
期間が一律で決まっているわけではなく、開業準備のための支出かどうかが大事なので、領収書は必ず取っておきましょう。

目次 [ open ]

まずこれだけやればOK

  • 何の事業をやるか決める
  • 開業日を決める
  • クレジットカードを用意する
  • 会計ソフトを決める
  • 領収書やデータの保存方法を決める
  • 開業届を出す
  • 青色申告承認申請書を出す
  • 銀行口座を事業用で分ける

用意するもの一覧【開業前 / 開業後】

見方
開業前 … 開業届を出す前から用意しやすいもの
開業後 … 開業後に必要になるもの
必須 … 基本的に必要
必須に近い … かなり早めに用意したい
あると便利 … 後からでもよい
必要な人だけ … 人による

項目タイミング必須度何に使う?メモ
本人確認書類開業前必須各種申請運転免許証など
マイナンバーがわかるもの開業前必須税務手続きマイナンバーカードなど
スマホ開業前必須に近い認証・連絡・明細確認仕事用分離は後でも可
パソコン開業前必須に近い記帳・申請・保存スマホだけだと大変
事業用メールアドレス開業前必須に近い登録・連絡仕事用で分けるとラク
クレジットカード開業前必須に近い経費支払い先に作るとラク
会計ソフト開業前必須に近い記帳・申告準備最初に決めるとラク
領収書の保管場所開業前必須紙の保存開業前の支出分も保管
データ保存フォルダ開業前必須電子データ保存PDFやCSV保存用
銀行口座開業後必須に近い売上受取・支払い屋号付きでも可。まずは事業用で分けることが大事
開業届の控え開業後必須控えとして保管なくさない
青色申告承認申請書の控え開業後必須控えとして保管なくさない
プリンター開業前あると便利確認・印刷必須ではない
ファイルボックス開業前あると便利書類保管月別に分けるとラク
名刺開業後必要な人だけ対面営業・イベント後からでも可
印鑑開業前必要な人だけ一部手続き必須ではないことも多い

銀行口座はどう考えればいい?

銀行口座は、まず1つあれば大丈夫です。
個人名義でも、屋号付きでも、自分が使いやすい形で事業用に分けることが大事です。

このページでは、わかりやすさを優先して、

開業したら、事業用の銀行口座を1つ用意する

という流れで考えます。

細かい違いはあとで説明できますが、最初の段階では
普通の銀行口座か屋号付き口座かより、家計と事業を分けることのほうが大事
です。

開業前に買ったものの領収書は取っておく

ここはかなり大事です。

開業届を出す前に買ったものでも、開業準備のために必要だった支出なら、あとで経費として扱えることがあります。

たとえば、こんなものです。

  • パソコン
  • 文房具
  • 仕事用の備品
  • 打ち合わせ交通費
  • 開業準備で使った消耗品
  • 専門書
  • 名刺やチラシの試作費
  • サイト開設やドメイン取得費

逆に、

  • 商品の仕入れ
  • 高額な備品
  • 私用のもの

などは扱いが別になることもあるので注意が必要です。
でも最初は、
「開業前だから関係ない」と思わず、領収書は全部残す
と覚えておけば大丈夫です。

先に買うならこれ

全部を一度にそろえなくても大丈夫です。
先に買うなら、この順で考えるとラクです。

優先度高

  • パソコン
  • 会計ソフト
  • クレジットカード
  • 領収書の保管用品

必要な人だけ

  • プリンター
  • 名刺
  • ラベルプリンター
  • 発送用品
  • レジまわりの備品

提出するものチェックリスト

1. 開業届

  • [ ] 出す
  • [ ] 控えを保管する
  • [ ] 開業日を決めてから書く

何の書類?
個人事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。

どこに出す?
税務署

このページであとで書くこと

  • どこを書けばいいか
  • 開業日はどう考えるか
  • 屋号はどうするか

公式の書類
・開業届の手続ページ
・開業届の様式
・書き方の案内

2. 青色申告承認申請書

  • [ ] 出す
  • [ ] 控えを保管する
  • [ ] 期限を確認する

何の書類?
青色申告をしたい人が出す書類です。

どこに出す?
税務署

重要度
かなり高いです。
開業届より、こちらの期限のほうが重要です。

このページであとで書くこと

  • どこを書けばいいか
  • いつまでに出すか
  • どう書けばいいか

公式の書類
・青色申告承認申請書の手続ページ
・申請書の様式
・記載例

3. インボイス登録申請

  • [ ] 必要かどうか判断する
  • [ ] 必要なら申請する

何の書類?
適格請求書発行事業者の登録を受けるための書類です。

どこに出す?
税務署

全員必要?
いいえ。必要な人だけです。

このページであとで書くこと

  • 必要な人
  • まだ不要な人
  • いつ考えればいいか

今日やることチェック

  • [ ] 開業日を決める
  • [ ] クレジットカードを決める
  • [ ] 会計ソフトを決める
  • [ ] 領収書とデータの保存場所を決める
  • [ ] 開業前の支出の領収書をまとめておく

最初の1週間でやること

  • [ ] 開業届を書く
  • [ ] 青色申告承認申請書を書く
  • [ ] 提出する
  • [ ] 控えを保管する
  • [ ] 銀行口座を事業用で分ける
  • [ ] 売上の受け取り先を決める
  • [ ] 支払いを事業用に寄せる
  • [ ] 記帳ルールを決める

1. 開業届の書き方

まず用意するもの

  • 氏名
  • 住所
  • マイナンバー
  • 開業日
  • 事業内容
  • 屋号(ある人だけ)

公式の様式
・開業届の手続ページ
・開業届の様式
・書き方の案内

開業届で迷いやすいところだけ先に確認

開業日

ここは、実際に事業を始めた日で考えれば大丈夫です。

  • 商品やサービスを売り始めた日
  • 事業として動き始めた日
  • 開業すると決めてスタートした日

職業

難しく考えず、何をして売上を作るかがわかる言葉で書けば大丈夫です。

  • ハンドメイド作家
  • Webサイト運営
  • ライター
  • デザイナー
  • 小売業

屋号

屋号がなければ、空欄でも大丈夫です。
あとから決めても問題ありません。

所得の種類

普通の個人事業なら、事業所得で考えてよいケースが多いです。

事業の概要

ここも難しく考えず、何を売るか、何の仕事かを短く書けば大丈夫です。

  • ハンドメイド作品の制作・販売
  • Webメディア運営
  • デザイン制作
  • ライティング業

開業届はこう書けばOK【簡易記入例】

  • 氏名 → 自分の名前
  • 住所 → 納税地として使う住所
  • 個人番号 → マイナンバー
  • 職業 → 例:ハンドメイド作家 / サイト運営 / ライター
  • 屋号 → ある人だけ書く。なければ空欄でもOK
  • 所得の種類 → 事業所得
  • 開業・廃業等日 → 自分で決めた開業日
  • 事業の概要 → 例:ハンドメイド作品の制作・販売 / Webサイト運営および広告収入事業

2. 青色申告承認申請書の書き方

まず用意するもの

  • 氏名
  • 住所
  • 開業日
  • 事業所の名称や所在地
  • 所得の種類

公式の様式
・青色申告承認申請手続ページ
・青色申告承認申請書の記載例

青色申告承認申請書で迷いやすいところ

事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地

自宅で仕事をしているなら、自宅住所で大丈夫です。

所得の種類

普通の個人事業なら、事業所得でよいケースが多いです。

本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日

ここは、開業届に書いた開業日と合わせるのが基本です。

取消しや取りやめの有無

初めてなら、でよいです。

青色申告承認申請書はこう書けばOK【簡易記入例】

  • 事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地 → 自宅開業なら自宅住所
  • 所得の種類 → 事業所得
  • 取消しや取りやめの有無 → 初めてなら「無」
  • 新たに業務を開始した年月日 → 開業届と同じ開業日

青色申告承認申請書で大事なこと

この書類でいちばん大事なのは、
書き方そのものより、期限に間に合わせることです。

このページでは、
開業届より、青色申告承認申請書のほうが重要度が高い
と覚えておけば大丈夫です。

3. 領収書と電子データの保存ルール

ここで決めることは3つだけ

  1. 紙の領収書をどこに入れるか
  2. PDFやメールの請求書をどこに保存するか
  3. 月に1回、見直す日を決めるか

最初から完璧な管理方法を作る必要はありません。
でも、この3つだけは決めておくと、あとでかなりラクです。

まず結論|紙とデータは分けて考える

紙でもらったもの

  • レシート
  • 紙の領収書
  • 紙の請求書
  • 紙の納品書

データでもらったもの

  • メールで届いた請求書PDF
  • 通販サイトの領収書PDF
  • クレジットカード利用明細
  • クラウドサービスの請求書
  • ダウンロードした領収書

いちばん簡単な保存ルール

紙のもの

  • 月ごとにまとめる
  • 1か月分を1つの場所に入れる

データのもの

  • 月ごとのフォルダを作る
  • PDFやCSVをそこへ保存する
  • ファイル名はざっくりでもよい

  • 2026-04
  • 2026-05
  • 2026-06

開業前の領収書もここに入れておく

開業前の支出も、

  • 開業前支出フォルダ

データ

  • 開業前支出フォルダ

を1つ作ってまとめておくとわかりやすいです。

保存ルールは、最初はこれだけでいい

  • 紙は月ごとに分ける
  • データも月ごとに分ける
  • 開業前支出は別でまとめる
  • 月に1回見直す
  • わからなくても、まず残す

やってはいけないこと

  • とりあえず机に積む
  • メールの中に入れっぱなし
  • 紙だけ残してデータを消す
  • 完璧に分類しようとする

4. 開業後に毎月やること

まず結論|毎月やることは5つだけ

  1. 売上を確認する
  2. 経費を確認する
  3. 領収書とデータをまとめる
  4. 口座とカード明細を確認する
  5. 会計ソフトに反映する

この5つが毎月できていれば、確定申告前に一気に苦しくなるのをかなり防げます。

毎月やること一覧【これだけ見ればOK】

やること何をする?目安時間ポイント
売上確認入金・売上記録を確認する10〜20分売上の漏れを防ぐ
経費確認使ったお金を確認する10〜20分現金・カード両方見る
書類整理領収書・請求書・PDFを月ごとにまとめる10分なくさないことが最優先
明細確認銀行口座・カード明細を見る10〜20分私用混在を防ぐ
記帳会計ソフトに入力・確認する20〜40分ためないことが大事

毎月の流れはこの順でやればOK

1. 売上を確認する

  • 振込入金
  • ネットショップの売上
  • 現金売上
  • 広告収入
  • 業務委託の報酬

2. 経費を確認する

  • 消耗品
  • 仕入れ
  • 通信費
  • サブスク
  • 交通費
  • 外注費
  • 広告費

3. 領収書とデータをまとめる

  • 紙は月別ファイル
  • データは月別フォルダ

4. 銀行口座とカード明細を確認する

  • 売上の入金漏れがないか
  • 覚えのない支払いがないか
  • 私用の支払いが混ざっていないか

5. 会計ソフトに反映する

一番大事なのは、ためないことです。

毎月いつやるかを決める

  • 毎月月末
  • 毎月1日
  • 毎月5日まで
  • 毎月最初の土日

このように、日を固定するとかなり続けやすいです。

毎月やることチェックリスト

  • [ ] 売上を確認した
  • [ ] 経費を確認した
  • [ ] 紙の領収書をまとめた
  • [ ] データの請求書や明細を保存した
  • [ ] 銀行口座の明細を確認した
  • [ ] クレジットカードの明細を確認した
  • [ ] 会計ソフトに反映した

最初にやりがちな失敗

1. 家計と事業のお金を混ぜる

なるべく早く分けるのが大事です。

2. 会計ソフトを後回しにする

あとでまとめようとすると、かなり苦しくなります。

3. 青色申告承認申請書を出し忘れる

開業届より、こちらの期限のほうが大事です。

4. 領収書は残しているのに、データを残していない

紙だけで安心しないことが大事です。

5. 銀行印を事業用と分けたのに、いつもの印鑑で登録してしまう

これは私自身の失敗です。

私は、事業用に銀行印を作ったのですが、
実際の登録では、いつも使っている銀行印で登録してしまいました。

あとで変更しましたが、これが結構大変でした。

なので、事業用で印鑑を分けるなら、

  • 印鑑の色を変える
  • ケースを目立つ色にする
  • ひと目で区別できるようにする

など、見てすぐわかる工夫をしたほうがいいです。

また、通帳と印鑑は別に保管したほうがよいので、

  • しまう場所を決める
  • 小さい引き出しを1つ用意する
  • 事業用だけまとめる

といった形で、最初に保管ルールを決めておくのがおすすめです。

6. 完璧にやろうとして止まる

このページでは、
まず進めること、止まらないこと
を大事にしています。

まとめ

個人事業の開業で大事なのは、
全部を最初から理解することではありません。

大事なのは、

  • 最初に何を用意するか
  • 何を提出するか
  • 開業後に毎月何をするか

を順番に整理して、止まらず進めることです。

このページでは、そのために

開業前にやること

  • 必要なものをそろえる
  • クレジットカードを用意する
  • 会計ソフトを決める
  • 領収書やデータの保存ルールを決める

開業時にやること

  • 開業届を書く
  • 青色申告承認申請書を書く
  • 必要ならインボイスを考える

開業後にやること

  • 銀行口座を事業用で分ける
  • 売上と経費を毎月確認する
  • 領収書とデータを保存する
  • 会計ソフトを更新する

という流れで整理しました。

つまり、
このページを上から順番に見ていけば、個人事業の開業が進められる
状態を目指しています。

最後にいちばん大事なのは、

  • 家計と事業を混ぜない
  • 領収書をなくさない
  • 青色申告承認申請書を忘れない
  • 完璧を目指しすぎない

この4つです。

開業は、最初の一歩を出してしまえば、あとは順番に整えていけます。
なので、まずはこのページの上から順に、1つずつ進めてみてください。